日本で働く会社員(いわゆる「サラリーマン」)であれば、経験年数にかかわらず、年間の税負担を軽減できる様々な制度を活用できます。家族の扶養から将来の資産形成まで、知っておくべき主要な節税制度をご紹介します。
1. 扶養控除
概要: 生計を共にする家族を経済的に支えている場合に受けられる所得控除です。
控除額の例:
- 一般の控除対象扶養親族: 38万円
- 老人扶養親族(70歳以上): 最大58万円
主な適用要件:
- 扶養親族の年間合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)であること。
- 生計を一つにしていること(海外に住む親族への送金も対象になる場合があります)。
- 近年、税務署による国外扶養親族に関する審査は厳格化しており、不適切な申請は将来のビザ更新などに影響する可能性もあるため注意が必要です。
2. iDeCo(個人型確定拠出年金)
概要: 掛金の全額が所得控除の対象となる私的年金制度です。
掛金の上限: 会社員の場合、勤務先の企業年金制度の有無によりますが、月額最大2万3,000円まで拠出可能です。
特徴:
- 老後のための長期的な資産形成(原則60歳まで引き出し不可)。
- 運用商品は定期預金、保険、投資信託などから選択可能。
- メリット: 将来に備えながら、現在の所得税・住民税を軽減できます。
3. 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
概要: マイホームを住宅ローンで購入した場合に、年末のローン残高の0.7%が所得税から控除される制度です。
控除期間: 新築住宅の場合、原則として最大13年間。
主な適用要件:
- 自身が居住するための住宅であること(投資用物件は対象外)。
- 床面積が50㎡以上(合計所得金額1,000万円以下の場合は40㎡以上)。
- 合計所得金額が2,000万円以下であること。
- 入居した最初の年は確定申告が必要ですが、2年目以降は会社の年末調整で手続きが完了します。
4. ふるさと納税
概要: 応援したい自治体に寄付をすることで、所得税・住民税の控除を受けられ、さらに返礼品(地域の特産品など)を受け取れる制度です。
税制上のメリット: 寄付額のうち2,000円を超える部分が、所得や家族構成に応じた上限内で全額控除されます(実質自己負担2,000円)。
利用方法:
- 年末までに寄付を完了させる。
- 確定申告が不要な給与所得者は「ワンストップ特例制度」を利用すると手続きが簡単です。
5. 医療費控除
概要: 1年間の医療費の合計が一定額を超えた場合に、その超えた金額分を所得から控除できる制度です。
計算式: (支払った医療費の総額) − (保険金などで補填される金額) − (10万円 ※) = 医療費控除額 ※総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額
ポイント:
- 生計を一つにする家族全員の医療費を合算できます。
- 申請には領収書や医療費通知書の保管が必要です。
6. 社会保険料控除
概要: 自身が支払った健康保険、厚生年金、雇用保険などの社会保険料の全額が所得控除の対象となります。
手続き: ほとんどの会社員の場合、会社が年末調整で自動的に計算してくれるため、特別な手続きは不要です。
申告が必要なケース: 国民健康保険や国民年金を個人で支払っている場合は、年末調整や確定申告で自己申告する必要があります。
💡 節税制度の活用優先度まとめ
制度名 | おすすめ度 |
---|---|
扶養控除 | 👍 対象者がいるなら必須 |
iDeCo | 👍 将来のための資産形成と節税を両立 |
住宅ローン控除 | 👍 住宅購入者にとって最大の節税策の一つ |
ふるさと納税 | 👍 手軽に始められ、メリットも分かりやすい |
医療費控除 | ⚪ 年間の医療費が高額になった場合に検討 |
社会保険料控除 | ✅ 会社員は自動的に適用される |