日本で給与交渉する方法(エンジニア向け、2025年版)
日本のIT業界における給与アップに関して、変わらない真実が一つあります。
最も効率的な年収アップの方法は、今でも転職です。
でも、もし今の会社に留まりたい場合は?チームやマネージャー、プロジェクトが気に入っているなら? 転職せずに年収を上げることはできるのでしょうか?
日本における給与交渉の実態と、日系企業と外資系企業での戦略の違いを見ていきましょう。
1. 日系企業における昇給の仕組み
多くの日系企業は固定の給与テーブル(給与テーブル)に基づいて運営されています。 昇給は、このテーブル内での評価点数によって決まり、個別の交渉で決まるわけではありません。
優秀な成績を収めても、昇進しない限り年3〜4%程度の昇給にとどまることがよくあります。
その理由は:
- 評価制度が年功序列と公平性を重視して設計されている
- 人事予算は年度ごとに事前承認される
- 昇給は「等級変更」に紐づいており、個別の業績例外は認められない
つまり:
等級や役職が変わらない限り、成果を2倍にしても給与はほとんど上がりません。
典型的なパターン
ケース | 結果 |
---|---|
良好な評価 | 基本給+3% |
次の等級への昇進 | +10〜20% |
昇進なし | 変動なし、または+1〜2% |
2. 外資系・グローバル企業での違い
Google、Indeed、Amazon、Metaなどの外資系・グローバルIT企業は、市場ベースの報酬モデルを採用しています。
ここでは、給与は年功序列ではなくスキル、インパクト、市場価値で決まります。
典型的な特徴:
- 年次評価で10〜20%の差が生じることがある
- 株式やストックオプションが含まれることが多い
- 他社からのオファーを提示するカウンターオファーが一般的で尊重される
成果を出していたり、外部からオファーを受けていれば、人事と直接交渉できることが多く、 これは日系企業ではほぼ不可能なことです。
3. 辞めずに本当の昇給を得る2つの方法
(1) 昇進する — 等級を上げる
昇進は、構造的に新しい給与レンジに移る唯一の方法です。 等級が変われば、給与スケール全体が変わります。
昇進による平均昇給:+10〜20%
準備方法:
- マネージャーに昇進基準を確認する
- 部門横断プロジェクトで目に見える責任を取る
- 評価シーズン前に具体的な成果を記録しておく
(2) 「給与調整」を交渉する
これは稀ですが、可能です。 役職変更なしで基本給を上げるには、明確で、データに基づいた理由が必要です。
以下のいずれかが必要です:
- 市場ベンチマークデータ(外部サイトから取得した職種平均年収など)
- 職務記述書を超える新しい責任の追加
- 直接的なビジネスインパクトの証明(売上、コスト削減など)
公式の評価サイクルが始まる前にマネージャーにアプローチしましょう。 評価が始まると、人事予算はすでに固定されています。
4. 交渉の適切なタイミング
日本ではタイミングがすべてです。
会社の評価シーズン(通常2〜3月または8〜9月)の前に昇給について話し合いましょう。
評価が確定すると、どんなに理解のあるマネージャーでも助けられません。次のサイクルまで「凍結」されます。
ベストプラクティス:
- 早めにデータを集め、ケースを準備する
- マネージャーと個別の1on1を持つ
- まず間接的に聞いてみる:
「ここでは給与調整はどのように決まりますか?」 「今回のサイクルで報酬を見直すことは可能でしょうか?」
5. 外部オファーを活用する(賢い方法)
社内での昇給要求がうまくいかない場合、外部からの評価は強力です。
例:
- 現在の年収:1000万円
- 外部オファー:1500万円
- 社内カウンターオファー:1200〜1300万円(引き留めたい場合)
辞める必要はありません。市場価値を示すことで会話が変わります。
丁寧かつ透明性を持って伝えましょう:
「他社からX円程度のオファーをいただきましたが、今の仕事がとても気に入っています。 調整の余地があるかどうか確認させていただきたく思います。」
企業は、冷静でデータに基づいた交渉を尊重します。脅しではありません。
6. 市場価値を本当に高めるもの
真実:スキル、希少性、責任範囲が給与を決めるのであって、「努力」ではありません。
例:
職種 | 年収レンジ(2025年) | 理由 |
---|---|---|
機械学習エンジニア | 1200万〜2000万円 | 高い希少性 |
フルスタックエンジニア(React + Go) | 900万〜1500万円 | 需要の高いスタック |
バイリンガルPM / テックリード | 1000万〜1800万円 | 横断的リーダーシップ |
QA / テスター | 500万〜800万円 | 標準化され、レバレッジが低い |
昇給を求めるだけでなく、レバレッジを構築しましょう:
- 需要が高く供給の少ないスキルを学ぶ
- コミュニケーションやバイリンガル能力を向上させる
- 測定可能なビジネス成果の責任を取る
7. 給与交渉のための丁寧なフレーズ
英語が通じる環境でも、トーンは重要です。 以下は、給与について話すための丁寧でプロフェッショナルな表現です:
「現在の報酬が、私の役割と貢献に見合っているか確認したいと思っています。」
「市場データと最近リードしたプロジェクトを踏まえ、報酬レベルを見直していただけないかと考えています。」
「チームと共に成長を続けていきたいと考えており、給与が自分の責任を反映しているか確認したく思います。」
決して「deserve(当然もらうべき)」という言葉は使わないでください。日本のビジネス文化では対立的に聞こえます。 代わりに**「align(合わせる)」「reflect(反映する)」「review(見直す)」**を使いましょう。
8. 重要なポイントまとめ
ヒント | なぜ効果的か |
---|---|
市場データを調べる | レバレッジと自信を得られる |
評価前にタイミングを合わせる | 人事予算に柔軟性がある |
冷静かつ丁寧に | 文化的に効果的 |
すべて記録する | マネージャーの仕事を楽にする |
希少なスキルを構築する | 長期的な昇給の倍率となる |
9. 最後に
日本では給与の成長は遅いですが、不可能ではありません。 年次評価だけに頼ることはできませんが、適切なタイミング、態度、レバレッジがあれば、 間違いなく数字を動かすことができます。
「誰もあなたの給与を代わりに上げてくれません。 何も言わなければ、何も変わりません。」
プロフェッショナルに、データを準備し、早めに会話を始めましょう。