「履歴書」と「職務経歴書」の書き方の違い
日本で就職活動を行う際、多くの企業から「履歴書」と「職務経歴書」の2つの書類提出を求められます。海外では一般的にCVやResumeの1種類で済むため、この違いに戸惑う外国人エンジニアは少なくありません。実は、この2つの書類にはそれぞれ明確な役割があり、適切に使い分けることが採用成功の鍵となります。
履歴書とは:あなたの基本プロフィール
履歴書は、あなたの基本的な個人情報と学歴・職歴を時系列で記載する文書です。日本では厚生労働省が推奨するフォーマットがあり、多くの企業がこの形式での提出を求めます。
履歴書に記載する主な内容:
- 氏名、生年月日、住所、連絡先などの基本情報
- 顔写真 (頭の先から胸の上あたりまでが写っているシンプルなもの)
- 学歴(高校卒業以降を記載)
- 職歴(入社・退社年月を時系列で)
- 免許・資格(取得年月日付き)
- 志望動機(200〜300文字程度)※ フォーマットによっては無い場合もある
- 自己PR(150〜200文字程度)※ フォーマットによっては無い場合もある
- 本人希望記入欄 ※ フォーマットによっては無い場合もある
重要なポイントは、履歴書は「事実のみを正確に記載する」ことです。あなたのキャリアに関する詳細な説明場ではないことに注意しましょう。 「志望動機」や「自己PR」の項目も存在しますが、これはほとんどのケースにおいて重要視されません。職務経歴書を合わせて提出する場合は、この欄は空白でも問題ない場合があります。空白にすることに抵抗がある場合は、「職務履歴書を参照」という文字を添えるだけで問題ないケースがほとんどです。
学歴について
学歴は高校卒業以降、時系列順に記載するのが一般的です。
例)
- 2015年3月 xx 高校 卒業
- 2015年4月 xx 大学 xx 学部 入学
- 2019年3月 xx 大学 xx 学部 卒業
職歴(入社・退社年月を時系列で)
職歴についても同様に時系列順に記載します。
例)
- 2019年4月 xxx, Inc 入社
- 2022年10月 xxx, Inc 退職
- 2022年11月 xxx, Inc 入社
また、転職回数が多い場合は、職歴欄に収まらない可能性があります。その場合は、退職日を記入せず、入社日のみを記入するようにしましょう。
免許・資格(取得年月日付き)
もし何かあなたがITに関する資格を持っているのであれば、この欄に記入します。 例えば、この欄に日本語検定の級を記載することはあなたの日本語力をアピールする良い機会となるでしょう。
本人希望記入欄
就業にあたり、特別なサポートが必要な場合はこの欄に記入します。 例)
- 身体的な障害があり、何かしらのサポートが必要
- フルタイムでの勤務が難しい
- 遠隔地からの勤務になるためフルリモートを希望
- etc..
必要なければ空欄でも問題ありません。
職務経歴書とは:あなたのスキルと実績を示すプレゼン資料
職務経歴書は、これまでの職務経験を詳細に説明し、具体的なスキルや実績をアピールする書類です。履歴書が「何をしてきたか」を示すのに対し、職務経歴書は「どのように成果を出してきたか」を示します。
職務経歴書に記載する主な内容:
- 職務要約(キャリアの概要を3〜5行で)
- 職務経歴の詳細(プロジェクトごとに記載)
- 使用技術スタック(言語、フレームワーク、ツール)
- 具体的な成果(数値で示せるものは数値化)
- 自己PR(詳細版、300〜500文字)
エンジニアの場合、特に重要なのは技術的な詳細です。例えば「Webアプリケーション開発を担当」ではなく、「React + TypeScript + Next.jsを使用し、月間100万PVのECサイトのフロントエンド開発をリード。ページ読み込み速度を40%改善し、コンバージョン率が15%向上」といった具体性が求められます。 この点は一般的なCVやResumeと変わりません。
2つの書類の最も重要な違い
履歴書は「公式記録」、職務経歴書は「営業資料」という位置づけです。履歴書では嘘や誇張は厳禁ですが、職務経歴書では(事実の範囲内で)自分の強みを最大限にアピールすることが期待されます。
分量の違いも顕著です。履歴書はA4サイズ1枚に収めるのが一般的ですが、職務経歴書は経験年数に応じて2〜5枚程度になることもあります。特にシニアエンジニアの場合、詳細なプロジェクト経歴の記載が重要です。
外国人エンジニアが注意すべきポイント
日本の履歴書には「顔写真」の添付が一般的です。3×4cmのカラー証明写真を用意し、スーツ着用で撮影するのが無難です。 また、履歴書は無理に日本語で書く必要はありませんが、住所については日本語で書くと良いでしょう。
「履歴書」「職務経歴書」はどこで手に入れるか?
履歴書の入手方法
日本では履歴書は様々な場所で簡単に入手できます:
オンラインで入手する場合:
- 厚生労働省の履歴書フォーマット:厚生労働省のウェブサイトから無料でダウンロード可能
- 転職サイト:リクナビNEXT、dodaなどの転職サイトでPDF・Excelフォーマットを無料提供
- コンビニプリント:ネットワークプリントサービスを利用してコンビニで印刷(1枚20〜60円程度)
結論・まとめ
履歴書と職務経歴書は、それぞれ異なる目的を持つ重要な書類です。履歴書では正確な事実を簡潔に、職務経歴書では具体的な成果とスキルを詳細に記載することが成功の鍵となります。両方の書類を丁寧に準備することで、日本企業への応募が格段にスムーズになるでしょう。まずは履歴書のフォーマットをダウンロードし、自分の経歴を整理することから始めてみてください。
